外国人採用時に必要な就業ビザの知識と取得方法
外国人が日本に来日し、就業したうえで長期滞在するという場合には、正規の手続きを行う必要があります。その中のひとつに『就労ビザの発給』があります。その詳細情報をまとめていますので、知識を深めるのにお役立てください。
外国人が日本で働く際に必須の「就労ビザ」とは?
外国人が長期間に渡る就業目的で来日する際、入国審査で必要になるのは『パスポート』と『在留資格認定証明書』、そして『就労ビザ』の3つ。その準備を進めるにあたり、よく混同されがちなのが、パスポート以外の2つです。
もっとも早く手をつけなくてはならないのが『在留資格認定証明書』のほうで、交付までに数ヶ月の時間が必要。また『在留資格認定証明書』が交付されていなければ就労ビザの申請をすることもできません。
ではこのふたつの間にある違いは、何なのでしょうか。
『就労ビザ』は、外国人が日本で90日以上の長期滞在、もしくは日本国内で報酬を得る活動をする際に必要とされるビザです。
対して『在留資格認定証明書』はその後の在留カード発行にも繋がるため、外国人の日本での生活に、必要不可欠です。
しかし『在留資格認定証明書』と『就労ビザ』が揃わなければ、また手続きが密接に関わっているせいか、一部の人々が『在留資格認定証明書=就労ビザ』という誤った認識を広げているようです。しかし本来は、別の証明書であると理解しておきましょう。
外国人が日本で働く際に取得が必要な就労ビザの種類
『在留資格認定証明書』と『就労ビザ』の違いについてお判りいただけたところで、次は類似点の解説です。それはビザにも在留資格認定証明書と同じく、いくつかの種類があるということ。留学生の場合には、現地の日本公館から『留学ビザ』が発給されますし、就業の場合は『就労ビザ』が発給されるといった具合です。
また就労ビザにも多くの種類があります。『芸術ビザ』や『報道ビザ』、『宗教ビザ』、そして『教育ビザ』に『医療ビザ』など2019年現在では、全16種類が存在しています。
外国人が日本で、エンジニアとして働くという場合には『技術・人文知識・国際業務ビザ』が発給されることになるでしょう。つまり在留資格認定証明書の内容に基づき、同傾向のビザが選出されるのです。入国審査の際は、この整合性がチェックされることとなります。
就労ビザの取得方法とは?
それでは就労ビザは、一体どこで発給を受けるのでしょうか?それは、各国にある日本大使館または領事館。例えばアメリカ人のエンジニアを雇用した場合は、アメリカにある日本大使館(または領事館)に、発給を申請することとなります。
就労ビザ申請の際は、写真付きの申請書(各国にある日本大使館の公式ホームページからダウンロード可能)、パスポートを持参します。さらに国によっては、戸籍謄本などの提出を求めることもあるので、事前のチェックは怠らないように。そしてもちろん『在留資格認定証明書』を持参する必要もあります。
『在留資格認定証明書』は日本の入国管理局が交付するため、便宜上、日本の受け入れ先企業が代理人として申請を行います(本人は、審査に必要な書類を郵送する必要あり)。数ヶ月の審査期間を経て、無事『在留資格認定証明書』が交付されたら、企業は本人のアメリカの住所へと郵送します。本人がこちらを受領した時点で、はじめてビザの発給に向けて動き出すこととなるのです。
就労ビザ発給までの期間目安は?
それでは各国にある日本大使館に就労ビザを申請すると、どのくらいの期間を経て発給されるのでしょうか?その期間は、国により異なります。期間のバラつきは、その国と日本との関係や、設備や人員に応じた処理能力の差によって生じますので「どの国でも○日間以内に発給できる」と言い切ることは、できないのです。
ただし平均的な数値として「大体一週間前後で発給されることが多い」と言うことができそう。企業側は被採用者に対し「在留資格認定証明書を受領したら、なるべく早めにビザの発給を申請するように」と案内しましょう。
また大使館や領事館の休館によっても左右されるため、あらかじめ大使館・領事館のスケジュールを確認しておくことも大切です。
ただし、日本の空港で行われる入国審査では、ビザの有効期限が必ずチェックされることになります。原則として「発給の翌日から起算して3ヶ月間」と定められているため、ビザ発給後から3カ月以内に入国しなければ、ビザ自体が意味を為さなくなってしまいます。
「早めに就労ビザを申請しよう」という心がけは推奨されるべきものですが、3ヶ月以上前に遡ってしまわないよう、気をつけることも大切です。
就労ビザ取得に必要な料金目安
各国の日本大使館、または領事館で就労ビザの発給を申請する場合、料金はかかるのでしょうか?気になるところです。
現在日本で活躍している外国人エンジニアは中国人が圧倒的に多く、そのほかアメリカ、韓国、そしてベトナム人などの雇用も目立つようです。それぞれの国別に、発給事情を見ていくことにしましょう。
中国の場合
- 手数料…200元(約3,000円)
- 期間目安…申請を受理した翌日から数えて4営業日
- 必要書類…写真貼付の申請書、パスポート、戸口薄写し、居住証明証(管轄地域内に本籍を有しない場合のみ)、在留資格認定証明書(原本)およびその写し
アメリカの場合
- 手数料…約3,000円に相当するドルなど
- 期間目安…少なくとも4営業日
- 必要書類…写真貼付の申請書、パスポート、在留資格認定証明書(原本)およびその写し
韓国の場合
- 手数料…30,000ウォン(約3,000円)
- 期間目安…追加書類の提出や申請者本人の面接の必要がない等の場合は翌日
- 必要書類…写真貼付の申請書、パスポート、住民登録謄本、在留資格認定証明書(原本)およびその写し
ベトナムの場合
- 手数料…630,000ドン(約3,000円)
- 期間目安…申請翌日から起算して少なくとも8営業日以内
- 必要書類…写真貼付の申請書、パスポート、住民登録謄本、在留資格認定証明書(原本)およびその写し
インドの場合
- 手数料…510ルピー(約780円)
- 期間目安…申請翌日から起算して少なくとも5営業日以内
- 必要書類…写真貼付の申請書、パスポート、住民登録謄本、在留資格認定証明書(原本)およびその写し
就労ビザを更新したいときはどうする?
本ページで、たびたび比較の対象として挙げている『在留資格認定証明書』と『就労ビザ』ですが、更新の義務があるのは『在留資格認定証明書』のみです。
『就労ビザ』は、発給の対象となる人物が本国を出発し、日本に到着した際の『入国審査』で必要となるものなので「日本に留まって仕事を続ける」という場合、わざわざ本国に戻って再発給してもらう必要はありません。
インターネット上で、就労ビザの更新方法を調べた場合でも、該当するのはすべて『在留資格認定証明書の更新』に関するページです。更新にあたっては『母国の日本大使館から発行された推薦状である、就労ビザ』の存在は、除外して構いません。
まとめ
初来日の際は重要な証明書として機能する就労ビザ。被採用者は、母国できちんと発給を受けなくてはなりません。しかし日本の空港で入国審査を経た後は、それほど重視しなくても良い存在となることが、おわかりいただけたのではないかと思います。
『ビザ』という言葉は『在留資格認定証明書』に比べると簡便で表記しやすいため、便利使いして混乱を招いている法律事務所などが多いようです。混同してしまわないよう、注意してください。