外国人採用時に必要なビザ・在留資格の知識と取得方法

外国人が日本に来日し、就業したうえで長期滞在するという場合には、正規の手続きを行う必要があります。その中のひとつに『在留資格の取得』があります。その詳細情報をまとめていますので、知識を深めるのにお役立てください。

外国人が日本で働く際に必須の書類とは?

外国人が長期間に渡る就業目的で来日する際、入国審査で必要になるのは『パスポート』と『在留資格認定証明書』、そして『ビザ』の3つ。その準備を進めるにあたり、よく混同されがちなのが、パスポート以外の2つです。

もっとも早く手をつけなくてはならないのが『在留資格認定証明書』のほうで、交付までに数ヶ月の時間が必要な場合があるからです。日本に長期滞在して働く場合、ビザの申請には、原則として『在留資格認定証明書』が必要となります。

ではこのふたつの間にある違いは、何なのでしょうか。
『在留資格認定証明書』は日本で企業が申請・受取ができますが、『ビザ』は招へいする外国人本人が在外公館で申請し、受け取る必要があります。

このように『在留資格認定証明書』と『ビザ』は全く別のものですが、一部の人々の間で『在留資格』を『就労ビザ』、もしくは『ビザ』と称する慣習があるため、混同されるようになっているようです。

外国人が日本で働く際に取得が必要な在留資格の種類

外国人が日本に在留して活動をおこなうために必要な在留資格は、目的別に多くの種類があります。
「在留する資格」という意味の名称の通り、「日本国籍を取得していない外国人が日本国内に、合法的に滞在するための資格」ですので、その人が日本でどのような活動(あるいは在留)をするのかによって、細かく、約30種類ほどに分類されているのです。
日本への『定住者』として認められるための資格や、『日本人の配偶者』として日本に滞在するための居住資格も、それらのうちのひとつです。

『留学』『研修』『家族滞在』『文化活動』などは就労すること(=日本国内で仕事に就いて収入を得ること)ができない在留資格です。
※「資格外活動の許可」を受ければ一定の範囲内で就労が可能になる場合があります。

また観光やスポーツのために滞在する『短期滞在』も就労できない在留資格です。

一方、『介護』『医療』『興行』『教育』『教授』『芸術』『報道』『経営・管理』などは就労可能な在留資格です。
外国人が日本でエンジニアとして働く場合には、『技術・人文知識・国際業務』という在留資格を得ることになります。「技人国(ぎ・じん・こく)」と省略されて呼ばれることもある、「就労可能」な在留資格です。
外国人エンジニアを採用する日本企業にとっては、その人材に、この『技人国』の在留資格を取得させることが必須条件となるわけですね。

ビザの取得方法とは?

それではビザは、一体どこで発給を受けるのでしょうか?それは、各国にある所轄の日本大使館または領事館です。例えばアナハイム在住のアメリカ人エンジニアを雇用した場合は、ロサンゼルスにある領事館に、発給を申請することになります。

ビザ申請の際は、写真付きの申請書(各国にある日本大使館の公式ホームページからダウンロード可能)、パスポートを持参します。さらに国によっては、戸籍謄本などの提出を求めることもあるので、事前にチェックしておきましょう。そしてもちろん『在留資格認定証明書』を持参する必要もあります。

『在留資格認定証明書』は日本の入国管理局が交付するため、便宜上、日本の受け入れ先企業が代理人として申請を行います(本人は、審査に必要な書類を郵送する必要あり)。数ヶ月の審査期間を経て、無事『在留資格認定証明書』が交付されたら、企業は現地にいる本人へと郵送します。本人がこちらを受領した時点で、はじめてビザの発給に向けて動き出すこととなるのです。

ビザ発給までの期間目安は?

それでは各国にある日本大使館や領事館にビザを申請すると、どのくらいの期間を経て発給されるのでしょうか? 実際には国や地域によっても違うので、申請地の管轄公館に確認しましょう。

目安として、外務省はビザの申請から発給までに必要な期間は、申請内容に特に問題のない場合、申請受理の翌日から起算して5業務日と公示しています。企業側は被採用者に対し「在留資格認定証明書を受領したら、なるべく早めにビザの発給を申請するように」と案内しておくのは悪くないかもしれません。

また、ビザの有効期限は発給の翌日から起算して3ヶ月です。無事ビザを取得できても、被採用者がこの期限までに来日ができなければ、折角取得したビザは無効になります。在留資格認定証明書が取得でき、被採用者へビザ申請の案内をする際は、まずは被採用者の予定を確認し、航空券等の手配を済ませて入国日を確定しましょう。

なお、やむを得ずビザの申請が渡航の直前になってしまった場合、ビザの発行は業務日ベースとなっていて、管轄公館の休館によっても左右されるため、あらかじめ休館日を確認しておくことも大切です。
入国日を決定するためには様々な受け入れ態勢が整うタイミングを見極める必要があるでしょう。従って、そうした諸準備を進めつつ、ビザの申請は同時進行で行うことになるでしょう。

ビザ取得に必要な料金目安

各国の日本大使館、または領事館でビザの発給を申請する場合、費用はかかるのでしょうか?気になるところです。

結論から言うとビザの申請には手数料がかかります。金額は原則として日本円換算で3,000円を現地通貨で支払う事と定められていますが、厳密に一律という事ではなく、国によって例外もあるようです。例えばインドの場合、インド人がビザを申請する場合は手数料は510ルピーとされており、日本円で約800~900円に当たります。
※インドで外国人が申請する際は約1,900ルピー(3,000円程度)

現在日本で多く活躍している中国人や韓国人、ベトナム人、そして、アメリカ人、インド人などについて、それぞれの母国別に、発給事情を見ていくことにしましょう。

中国の場合

  • 手数料…約3,000円に相当する中国元
  • 期間目安…申請を受理した翌日から数えて4業務日
  • 必要書類…写真貼付の申請書、パスポート、戸口薄写し、居住証明証(管轄地域内に本籍を有しない場合のみ)、在留資格認定証明書(原本)およびその写し

韓国の場合

  • 手数料…30,000ウォン(約3,000円)
  • 期間目安…追加書類の提出や申請者本人の面接の必要がない等の場合は申請受理の翌日から数えて5業務日
  • 必要書類…写真貼付の申請書、パスポート、住民登録謄本、在留資格認定証明書(原本)およびその写し

ベトナムの場合

  • 手数料…630,000ドン(約3,000円)
  • 期間目安…申請翌日から起算して少なくとも8業務日
  • 必要書類…写真貼付の申請書、パスポート、住民登録謄本、在留資格認定証明書(原本)およびその写し

アメリカの場合

  • 手数料…約3,000円に相当するドルなど
  • 期間目安…申請を受理した翌日から数えて4業務日以上
  • 必要書類…写真貼付の申請書、パスポート、在留資格認定証明書(原本)およびその写し

インドの場合

  • 手数料…510ルピー(約800~900円) ※インドで外国人が申請する際は約1,900ルピー(3,000円程度)
  • 期間目安…申請翌日から起算して少なくとも5業務日
  • 必要書類…写真貼付の申請書、パスポート、住民登録謄本、在留資格認定証明書(原本)およびその写し

ビザを更新したいときはどうする?

本ページで、たびたび比較の対象として挙げている『在留資格認定証明書』と『ビザ』ですが、更新の義務があるのは『在留資格』です。
『ビザ』は、発給の対象となる人物が本国を出発し、日本に到着した際の「入国審査」の場で必要となるものなので「日本に留まって仕事を続ける」という場合、わざわざ本国に戻って再発給してもらう必要はありません。

また『在留資格認定証明書』は、「確かに在留資格を取得していること」を証明するだけの書類であり、これは入国審査の際に、ビザと一緒に回収されます。入国を果たした外国人は、代わりに『上陸許可』(パスポート上に証印が押印される)と『在留カード』を手にすることになります。

このうち、上陸許可は更新の対象となりません。つまり、在留カードを更新するという事になりますが、在留カードは所有者の「在留資格」の内容を記したものであるため、実際に更新するのはその「在留資格」そのものということになります。仕事や勤め先に変更が無い場合は在留資格の「在留期間更新許可申請」を行うことになります。申請は在留期間の満了するおおむね3か月前から受け付けるということになっていますので、余裕をもって申請したいものです。

まとめ

入国の際に必要な重要書類であるビザは、被採用者自身が、母国で発給を受けなくてはなりません。しかし、受け入れ企業もビザ発給に必要な書類を用意して、被採用者に遅滞なく送付する必要があります。ビザは発給から3か月という有効期限がありますので、被採用者、受け入れ企業の双方がしっかり連携して、渡航準備、受け入れ準備を勧めながら、適切なタイミングで取得することが大事です。

ビザの申請に関しては原則はあるものの、渡航目的や国によっても差があることがありますので、詳細は管轄の大使館や領事館に確認しましょう。

なお、入国審査が通り、上陸許可と在留カードをもらった後はビザについて気にする必要はありません。よく「ビザの更新」「就労ビザの更新」という話が登場し、混乱しそうですが、これらが意味しているのは「在留資格の更新」です。世の中に出ている資料などで、在留資格も査証も含めた広い意味で「就労ビザ」と称しているため紛らわしいのですが、そうした場合は文脈をよく理解して、「ビザ(査証)」の話をしているのか、「在留資格」の話をしているのか、あるいは「在留資格認定証明書」の話をしているのかを判断してください。

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