外国人採用の不安「言葉は通じる?コミュニケーションは取れる?」
外国人スタッフの採用に伴い、社内には「日本語を話せる人材なのだろうか?」、「うまくコミュニケーションを取れるだろうか?」という不安が広がります。どのような点に気をつけるべきなのか、見ていきましょう。
実際に日本で働いている外国人は言葉の壁をどう感じている?
日本で働く外国人が乗り越えなければならない課題のひとつに、『日本語の壁』があります。
国籍にもよりますが、欧米人の使用する言語の起源はラテン語なので、日本語との共通点が少なめ。またアジア人にとっても、カタカナやひらがな、そして漢字が混在する日本語の習得は、難易度の高いものです。
外国人の日本語習得度を測る基準のひとつに『日本語能力検定』がありますが、上位級に合格している外国人にも、文章や言い回しの誤りは散見されます。それほど日本語は難しいのです。
採用プロセスで「英語に対応できていない企業が多く、ネイティヴレベルの日本語力を求められた」、また「英語ではなく、日本語での職務経歴書を求められた」という経験を持つ外国人は多い様子。
ただしいったん採用された後は「私のつたない日本語に、上司が忍耐強く耳を傾けてくれる」、「同僚が親切に指導してくれる」、「英語が堪能な人もいる。また日本人はシャイと聞いていたが、コミュニケーション能力が高い人は多い」と、ポジティヴな感想を持つ外国人も多いようです。
日本語の壁に苦しんでいる彼らに配慮しながら、積極的なコミュニケーションを図ることで、外国人エンジニアの定着率は高まっていきそうです。
外国人スタッフとの会話コミュニケーションで気をつけるべきことは?
「空気を読め」「察してくれ」は厳禁
指示等はきちんと口に出して伝えるのがベター。
日本人は輪の中で「空気を読む」、「雰囲気を察する」ことを得意としています。対して外国人は「自分の意見をはっきりと述べる」ことを美徳しています。
大国のアメリカや中国では「たくさんの人の中で、自己を主張する」ことが大切であり、教育や経験を通し、幼少期からプレゼンテーション能力が鍛えられていきます。またヨーロッパ諸国は集団より個人を重視するため「人がどう思うのか」ということより「自分がどうしたいのか」という意志を尊重します。
こうした外国人が日本企業に就労した際、カルチャーギャップに驚くことはよくあります。「上司の指示が不明瞭で、一体何が言いたいのかよくわからない」、「当たり前の主張をしただけで、孤立してしまう」という問題が生じるようになっては、先が思いやられます。職場での居心地の悪さが募れば、早期離職へ繋がってしまう可能性が高まるからです。
その対処法として挙げられるのは、双方の歩み寄りです。日本人は「言わなくてもわかってくれるだろう」という意識を捨て、話の主旨を明瞭に説明する訓練を始めなくてはなりません。
また外国人には「日本文化に順応しなさい」と強制するより「就業する企業の価値観を理解してください」と指導した方が、スムーズに受け入れられやすくなるでしょう。
ボディランゲージ、指さし、翻訳ツールなど伝える手段は色々
少し大げさでも、はっきりとわかりやすく伝えることを意識するべき!
前項で「外国人は、はっきりと自分の意見を言う」と説明しました。
こうした彼らの特徴は、同時に「はっきりとした指示でなければ、理解しようとしない」という姿勢に繋がりやすくなります。その後、問題が発生した場合「はっきりと指示をしなかった方が悪い」という意見に発展しやすいとも言えるでしょう。そこで言い争いを続けていても、平行線。双方がカルチャーギャップを埋める努力をしなくては、解決にはつながりません。
日本人スタッフにとって大切なのは「遠回しな表現は避け、伝えるべきことを明瞭に、正確に伝える」という意志を持つこと。例えば業務を依頼する際は必ず締め切り日を明確に伝え定期的にリマインドを行うと安心です。何か質問を受けた際はYESかNOをはっきりと伝え曖昧さは残さない表現をするよう心がけましょう。
また、書類やPCの画面を見ながら打ち合わせをする際は、図などを指差し「ここが大切である」という意図を行動にして示します。また身振り手振りを加えながら「なぜここが大切なのか」を説明すると、外国人の共感が生まれやすくなるでしょう。はじめは「少し大げさかな」と恥ずかしくなるかもしれませんが、外国人は当然のこととして受け止め、理解しようと努めます。
外国スタッフの日本語能力に不安がある、日本人エンジニアの英語能力に問題があるという場合は、翻訳ツールに頼る柔軟さも必要となってきます。
外国人同士、日本人同士で固まらず、積極的に交流しよう
他人とコミュニケーションを図る際、勇気が必要なことがあります。
日本はもともと島国で国民が内に固まりやすいため、部外者を恐れるという民族的な特徴が受け継がれています。 外国人にはコミュニケーション能力の高い人が目立ちますが、日本人が旅行者に話しかけた際、会話に消極的なケースも実は多くあります。これは彼らの母国が日本ほど治安大国でなく、よく知らない者と交流した結果、不利益を被ることがあるからです。
こうしたお互いのメンタリティを、職場内で発揮してしまうのは問題。特に複数の外国人を同時に雇用している場合、内側で発生した会社への愚痴が結束を強め、一斉離職に繋がってしまうという不安もあります。相互理解が深まるよう、積極的な交流に努めていかなくてはなりません。
意識すると良いのは「特別扱いを失くすこと」。前項で紹介した「職務上のカルチャーギャップを埋める努力」は必要ですが、コミュニケーションの部分ではなるべく分け隔てなく、フラットに接することが、外国人にとって大きな助けになります。
彼らがストレスを感じない程度に、飲み会やイベントなどを企画し、日本人スタッフとの交流を深めるために役立てていきましょう。
「指導役」や「メンター制」を導入し、何でも相談できる環境づくりを
外国人を採用する際には『これまでと同じ体制』ではなく、外国人の指導役を務めるスタッフをあらかじめ選出しておく方が、ベターです。
「同じ給料を払っているのだから、同じように働いてもらう」、「えこひいきは孤立を招く」といった前提はもちろん必要ですが、慣れない環境で奮闘する彼らをサポートする体制の整備は、不可欠と言えるでしょう。
日本で働く外国人の中には「研修制度が整っていない」、「労働環境が悪い」という感想を持つ人材も多くいます。また「法制上の手続きを充分にサポートしてくれない」という不満は、彼らにとって大きなストレスとなりがち。外国人は日本人ほど転職に抵抗を持たないため「もっと良い環境を探そう」と、早々に離職を検討してしまいます。
共に働く外国人スタッフの自立を助け、生活面での相談にも応じられる気安さを持つ人材なら、指導役に最適。また直属の上司や先輩以外の立場にあるスタッフの中から「メンター」を選んだ方が、より良い効果が得やすくなります。
早い・丁寧・的確な日本語力向上は、「日本語学校」がおすすめ
日本語をマスターしないまま来日した外国人エンジニアには、日本語学校への通学を促す、という方法もあります。
日本語学校の中には就労しながらの通学も可能なコースを用意しているところも多いため、社会人でも積極的に受講を検討したいところ。生徒のレベルに合わせたコース内容が用意されているため、それぞれに合うステップアップを目指していくことができます。
日本語を教えるというだけでなく、日本文化や生活様式に関するレクチャーを交えながら、クラスを構成してくれる日本語学校も、数多くなっています。一石二鳥の効果が期待できますし、外国人スタッフの、日本への順応度も高まっていくでしょう。
日本人にとっては当たり前のことですが、日本語学校の出席/遅刻チェックは非常に厳しいものとなっています。「教師が遅刻してくるのも、当たり前」という文化で育った外国人にとっては、ちょっとした驚きかもしれませんが、日本の整然としたルールに直接触れる、貴重な機会となってくれるでしょう。
日本語学校は『日本語能力検定試験』の段階的な合格を、ひとつのゴールに設定しています。見事目標を達成したスタッフに報償を用意しておけば、モチベーションの向上に繋がります。
外国人採用の不安「言葉は通じる?コミュニケーションは取れる?」まとめ
柔軟な対応を行うことでコミュニケーションの問題はクリアできる!
日本企業で働く以上、最低限の日本語コミュニケーションは必要です。しかし、ITエンジニア業はスキルや知識が非常に重要な職種。そのため、ITエンジニア採用においては、日本語能力を重視して採用を判断するのではなく、エンジニアとしてのスキルやこれまで学んできた知識をもとに採用を検討したほうが、本当に欲しい人材の獲得につながり、満足のいくエンジニア採用が叶うはずです。
とはいえ、入社後の日本語教育をどうするべきかは、現実問題として悩ましいポイントでしょう。
全研本社株式会社ダイバーシティ事業部の外国人エンジニア採用サービスでは、採用後、入社前から入社後まで提携の日本語学校にて手厚い日本語教育(現地・遠隔)を行っています。外国人エンジニアたちは、そこで言語の基礎となる単語や基本文法を身に着けることが出来るため、受け入れ側の企業が、採用した外国人スタッフの日本語勉強までプランニングする必要はありません。
エンジニアとして優秀な外国人を採用した上で、さらにコミュニケーション能力の一つとして日本語を学ばせたいと考えられている際は、ぜひ一度、全研本社株式会社ダイバーシティ事業部にご相談ください。