外国人採用の不安「新卒採用後のフォローは何をすればいい?」
少子高齢化の進む日本では、若年層の労働力確保を大きな課題とされている企業も多いと思います。このページでは外国人エンジニア採用の中でも、特に高い関心をもたれている『新卒生を採用する際の留意点』について情報をまとめていますので、どうぞご参照ください。
晴れて内定承諾をもらえたら、採用後の“内定者フォロー”をしよう
新卒者の採用が決まり、採用者からの承諾も得られてから実際の雇用が始まるまでの間には、ある程度の期間が残されています。
その期間内にフォローが必要なのは、外国人の場合でも、日本人の場合でも同じ。彼らには、以下のような不安材料があるからです。
- 安心して働ける職場なのか
- どのような人が働いているのか。実際の社風は?
新卒者を招き入れるための準備として、以下のような取り組みを実施する日本企業は、数多くなっています。
- メールやSNSなどを活用し、採用者と定期的なコンタクトを取る
- 内定後の研修を実施する
- 内定者懇親会を開催する
- 事前に日本語教育を提供する
中には既存社員との交流会を開催する企業もあるようです。
外国人の場合、日本人が日本の会社へ新卒で入社する場合以上に「入社前の不安」が大きいことは、想像に難くありません。また「自分の日本語が充分に通用するかどうか」、「日本での生活に馴染めるかどうか」という、外国人特有の不安も抱えています。
内定辞退を招かないためにも、外国人の新卒者に特化したフォローを実践していく必要があります。
外国人の採用後フォローその1: コミュニケーションフォロー
インターネットを活用したコミュニケーションフォローは、新卒者対応に有効です。一例として挙げられるのは、社内SNSの活用。すでに構築されたSNSへの加入を促し、投稿への反応、そしてダイレクトメッセージでのやり取りを通し、交流を深めていくのです。
その際は社内の雰囲気や、既存スタッフの人柄など、新卒者が共感しやすい内容を発信し続けていくことが大切。彼らからの質問には、できるだけ親身に答えるよう努めていくことで、内定の辞退を未然に防ぐことができます。
こうしたフォローは、新卒者とさほど年齢の離れていない世代で、同業務に就労している人物が最適。もし、すでに同国人を採用している場合、彼らに担当してもらうことで、より高い安心感を得ることができるでしょう。
海外の教育機関からの新卒者採用の場合、内定者懇親会への参加が難しいというケースも、充分に考えられます。就業前に来日の機会があるようなら、社屋の案内や既存社員との交流会などを個別に実施する柔軟さも、必要となってきます。
外国人の採用後フォローその2: 仕事面でのフォロー
日本では「卒業の約1年前から就職活動を本格化させ、内定の獲得後は最後の自由を満喫する」というパターンが数多く見られます。
しかし外国では、日本のような「新卒者の一括採用」という習慣がほとんどありません。むしろ、この習慣は、世界でも日本独自の珍しい採用方法とさえ言われています。そのため「採用が決まったら、すぐ働き始める」という感覚が一般的です。そうした国で生まれ育った新卒学生は、事前にビジネス面でのフォローが与えられることについて、抵抗感を覚える人材は少ないと考えてよいでしょう。
もし外国人の新卒者が留学生で、日本にいるという場合は、日本人と同様の内容を提供しましょう。一般的なのは内定者研修や、スキルアップ課題の提供。以下のような内容を含めていくと、効果的です。
- 企業理念や価値観の共有
- ビジネスの基礎知識やマナーの教育
- 課題図書の案内やレポート提出
- ケーススタディの実践
- 内定者同士のディスカッションを活発化させ、交流を深める
もし外国人の新卒者が「仕事が始まる直前に来日するため、今はまだ母国で生活している」という場合は、ZoomやMicrosoftTeams、GoogleMeetなどオンライン会議ツールを活用して、遠隔参加を促すというのもひとつの方法です。
外国人の採用後フォローその3: 日本語教育のフォロー
外国人の日本語能力は、人材によりばらつきがあります。新卒採用の場合でも、同様です。
- 留学生の場合…日常会話レベルは習得している。日本語能力検定で、ある程度高い級に合格している人材も多い。
- 現地採用の場合…日本語が全くできない、または事前に現地の語学スクールなどで学習の機会を得ているがそれでもレベルが低い人材も少なくない。
「留学生で、日本語能力検定に合格している人材なら安心」と思う人がいるかもしれませんが、彼らの書いた文章を読んだり、会話をしていると、やはり彼らの日本語に違和感を覚えることは多くなります。ただし基本的な能力に問題はありませんので、入社前には業務上で必要な用語や表現、またビジネス文書の書き方などを学んでもらうことも効果的でしょう。
現地採用のため日本語能力に不安があり、「来日前に、少しでもレベルを上げておいて欲しい」という人材に関しては、現地の日本語学校への通学を推奨するのがよいでしょう。
日本語学校を選ぶ際は「基本的な表現、読み書きだけでなく、日本独自の文化や習慣についても、プロから丁寧に教えてくれる学校」であるかどうかを確認するとよいでしょう。こうした日本語学校での準備段階を経ておくと、日本での生活へスムーズに溶け込めるようになります。
日本語学校の選び方
日本語学校に預け、日本語教育を提供する場合は「コミュニケーションスキルの向上」に適している授業であるかどうかを判断する必要があります。
外国人採用を試みる日本企業では、ついつい「日本語検定の取得級=日本語能力の高さ」という考えに陥りがちですが、実際には、日本語検定の級と実際の日本語能力、とくにコミュニケーション能力は比例しないものとご認識いただくべきです。
検定取得に向けた勉強ではなく、社内でのコミュニケーションで活きる日本語教育を実施している日本語学校を選びましょう。
なお本サイトを監修している『Zenkenダイバーシティ事業部』では現地採用した外国人エンジニアに、入社前に受講可能な現地日本語学校での教育・遠隔で日本語教育・入社後の日本語教育を提供しているため、語学フォローを一任することが可能となります。
外国人の採用後フォローその4: 日本で就職するための事務手続きのフォロー
外国人エンジニアを新卒採用する場合は、以下の事務手続きが必要となります。
留学生を新卒採用する場合
すでに留学生として日本に在留している人材は、留学生としての在留資格を得ています。このため、企業に就職する場合は、その資格を就労目的に変更する必要があります。
申請は企業でなく本人が行うため、フォローが必要です。申請自体は本人が行いますが、企業側でも「どのような企業で、申請者をどのような待遇でどんな業務に対応させるか」という内容をきちんと整理し、書面化する必要があります。
在留資格の変更には1ヶ月程度の時間が必要なので、年が変わったらすぐ作業に取りかかられるよう、意思疎通を図っておかなくてはなりません。交付には内定者本人の卒業証書提示が必要になるので予め用意してもらえるように伝えておきましょう。
海外から新卒者を招く場合
現地採用した外国人新卒者については、イチから在留資格認定証明書交付の手続きを行う必要があります。
この場合は、企業が代理人として必要書類を揃え、入国管理局(地方出入国在留管理局)に申請を行います。内定者本人の記入が必要となる資料のほか、内定者が「これまで受けてきた教育を証明する書類」などを用意してもらう必要もあるため、連絡はこまめに取り合うこととなるでしょう。交付までには、3ヶ月程度の時間が必要なので、入社日から逆算をして計画的に申請を行う必要があります(※)。
企業側で在留資格認定証明書の交付が完了したら、受け取った在留資格認定証明書を内定者本人に郵送します。そのうえで本人に、現地の日本大使館でビザ(査証)の発給を申請してもらい(期間は約1週間程度)、ビザ(査証)発給後、初めて来日が叶うようになります。
このように、一連の作業にはある程度の時間と相互協力が欠かせません。トラブルが発生させないためにも、密なコミュニケーションを忘れないようにして下さい。
※在留資格認定証明書やビザ(査証)の手続きなどについてはこちらのページで詳しく解説しています。よろしかったら併せてご参照ください。
外国人の採用後フォローその5: 生活面でのフォロー
外国人を採用する際には、生活の拠点となる住居を用意する必要があります。以下のようなケースが考えられるでしょう。
- すでにある社員寮に入寮してもらう
- 賃貸物件を手配する
社員寮がある場合、当面の住居として機能するため、手配はスムーズです。とは言え、生活習慣の違いが他の入寮者に影響を及ぼす可能性も考えられます。入寮ルールを理解させ、トラブルを起こさないように管理することは必須ですし、また他の入寮者には、あらかじめ「外国人社員が入寮する」旨を通達し、配慮を求めて下さい。
賃貸物件の場合は、外国人対応に専門性のある不動産会社やサービスに相談し、関係を築いておくと、後々の外国人採用がスムーズに進みます。
また外国人の中には、住民票の発行手続きの手間に対して、ストレスを抱える人も多くなっています。こうした作業にはなるべく同行し、生活環境を円滑に整えられるよう、フォローしてあげて下さい。
外国人エンジニアの採用後フォローはプロのサポートが効果的
本ページでは、外国人エンジニアの採用後フォローについて、さまざまな情報を掲載してきました。内容を読んで「本当に手間がかかるんだなぁ…。ただでさえ人数の少ないうちの会社では、とても対応しきれないかもしれない」などと、不安を感じた人が、多いかもしれません。
人数が少ないうちは何とか対応できたとしても「外国人採用が軌道に乗り、一度に多くの人数を採用するようになった」という状況を迎えると、専門的なケアやフォローが追い付かなくなる、といった事態も考えられます。
そうした際に頼りになるのが、人材採用サポート会社の存在です。採用過程はもちろん、内定承諾後の内定者フォローまでサポートしてもらえるアウトソーサーを見つけることで、企業のグローバル化を、一気に本格化できます。
本サイトを監修するZenkenダイバーシティ事業部の外国人エンジニア人材紹介サービスは「現地や遠隔での日本語学教育」、「インターン(遠隔含む)でのITスキル教育」、そして「日本で働くためのビザ申請手続きや住居探し」などのトータルサポートを提供。企業と外国人エンジニアが安心して働ける環境づくりに、ひと役買っています。
外国人採用の不安「採用後のフォローは何をすればいい?」 まとめ
外国人エンジニアの採用に向け準備を進めていくと、内定がゴールではなく、始まりに過ぎないということに気付かされます。採用後、定着ができず離職者が続出するようでは、意味がありません。
採用までに費やした費用と時間を無駄にしないためにも、フォロー体制をしっかり整えておくことが大切。また「プロのアウトソーシングサービスの力を借りる」という選択肢もあると、知っておきましょう。