アフリカ人エンジニアの採用ガイド

アフリカとは大陸の名称なので『アフリカ人エンジニア』と一括りにまとめてしまうのは、少し乱暴かもしれません。かつては貧困にあえぐ国が数多く存在していましたが、近年はIT分野で注目を集める場所もあるようです。

【地理・文化・政治・宗教観】アフリカってどんなところ?

アフリカはヨーロッパの南に位置する広大な大陸の総称で、内部には50以上の国々が存在しています。エジプト、南アフリカ共和国、モロッコ、そしてエチオピアなど、比較的知名度の高い国がある反面、あまり耳馴染みのない国があることも確かです。未だにヨーロッパ諸国の領土である場所も、多数存在しています。

その文明は非常に古く、類人猿から進化した人間の起源も、アフリカにあると考えられています。またエジプト文明や地中海文明が栄えた場所でもあり、太古のロマンがいまも世界中の人々を惹き付けてやみません。

一方で、大国の人力として、人民が奴隷貿易の対象となった苦い歴史もあり、アラブ諸国からヨーロッパ、そしてアメリカへと渡ったアフリカ大陸の子孫は、今も現地でその命脈を繋いでいます。

第二次世界大戦後は、こうした隷属からの独立を果たした国が続出しました。とはいえ、各国の政情はいまだに安定しているとは言えず、内戦や独裁政治がいまだに発生しており、毎年多くの難民が国を後にしています。

言語や宗教も多様に存在し、特に宗教については、土着的な自然崇拝などもあります。

【国民性】アフリカ系エンジニアの特徴は?

アフリカにはさまざまな国があります。以下、日本での知名度が高い国々のおもな国民性について、紹介していきます。

  • ◆エジプト…観光業が盛んな国なので、外国人とのコミュニケーションに慣れており、フレンドリーな人柄。女性エンジニアの活躍も少なくない。
  • ◆モロッコ…どちらかというと、時間などに大らかな傾向。イスラム教徒が多く、人によっては戒律に忠実。教育レベルもまずまずで、大学卒業後に海外へ渡航し、エンジニアになる人も。
  • ◆ナイジェリア…公用語は英語なので、国際社会で通用する人材が育つ。人口が多く、経済も発展しているため、現地エンジニアも多数活躍中。
  • ◆ガーナ…陽気で気さくな人柄が特徴的。敬虔なキリスト教徒が多い。海外に留学して高い教育を受けた後、エンジニアとして活躍している人も。
  • ◆ケニア…過ごしやすい気候の影響か、穏やかでフレンドリーな国民性が特徴。首都ナイロビにはIBM、インテル、マイクロソフトなども拠点を設けており、シリコン・バレーならぬ『シリコン・サバンナ』の異名で呼ばれている。現地人エンジニアも多数活躍している。
  • 【新卒・転職】アフリカ人エンジニアの就活・採用事情

    国によって政情が大きく異なるアフリカ大陸。中には教育水準が低く、エンジニアどころかインターネットの普及率が低い国も数多く存在しています。

    そんな中で、南アフリカ共和国やケニア、そしてナイジェリアといった国では、IT系のベンチャー起業が盛んとなっており、アフリカの経済成長をけん引しています。

    さらに近年、ルワンダでほぼ毎年、起業家と投資家のマッチングを促進するイベントが開催されているのにも、注目したいところ。これは、優れたプレゼンテーションを展開したアフリカの起業家に、投資家が出資を行うというコンテスト形式が採用されています。

    ルワンダは海外企業のオフショア拠点としても活況を呈しており、エチオピアやチュニジアといった国も、同様に拠点候補として検討される機会が多くなっています。

    なおアフリカでは「教育水準が低く、一部の人しか大学に進学できない」という問題を抱えているエリアもまだまだ少なくありません。エンジニアを志す人も学生ばかりではなく、すでに社会人として別の職種を経験してからエンジニアを目指す人も少なくないようです。

    近年では、海外の企業が現地にエンジニアスクールを開設する動きも見られるため、実践的な教育を受けた若手&中堅の即戦力が、続々と登場してくるかもしれません。

    【仕事観】アフリカ人エンジニアが就職先を選ぶ際に重視するポイント

    アフリカ系と一言で言っても、エジプト人と南アフリカ共和国出身の人では、まるで個性が変わってきます。このため、ルワンダなど特にIT産業の発展が目覚ましい地域に限って、話を進めていくことにしましょう。

    まず彼らが重視するのは、キャリアプランと言えます。例えば中国やアメリカなどの大国と比べ、アフリカ諸国はまだ発展の途上にあり、本人たちも「これから先、エンジニアとしてどのように能力を発揮していくべきなのか」、絞り込めていないという可能性があります。

    「技術や知識を学び、エンジニアとして成長したうえで自国に戻り、業界の発展に貢献したい」と考える人もいれば、「アメリカなどの大国に渡り、自分自身の可能性をさらに高めていきたい」とも考えています。いずれにせよ彼らは『話し合いに耳を傾け、必要なアドバイスを与えてくれる企業』の存在を求めています。

    もちろん、給与などの待遇も選択のポイントに挙がります。日本での外国人採用には「日本人と同等の待遇で迎え入れる」という条件が定められていますから、母国で支払われる給与より、はるかに高額な金額を手にできるからです。ジャパンマネーは、彼らに大きな可能性を与えることでしょう。

    【どうやって出会う?】アフリカ人エンジニアを採用する方法は?

    外国人エンジニアの中でも、特にアフリカ大陸の出身者を採用したいという場合、どうすべきなのでしょうか?以下に見ていきましょう。

    1.現地採用

    アフリカ諸国の経済はまだ十分に成熟していないこともあり、現地で生まれ育って、海外で採用されるほどの競争力と就職活動の手段を持っている人材は、さほど多くありません。このため、アフリカ人エンジニアの獲得にこだわるのであれば、現地に飛ぶのが早道と言えそう。

    先述の通り、現地のエンジニアまたはエンジニアを志す人は、すでに社会人であることが多く、国内ではいわゆるエリートであったり、ほとんどの場合すでにキャリアを持っています。とくに「将来的にアフリカでの事業展開を検討している」という企業にとっては、有望な人材と言えるでしょう。

    2.教育機関との提携

    アフリカ系の留学生を受け入れている教育機関と提携を結び、修了後の人材をインターンとして受け入れるという方法も考えられます。

    ただしアフリカは、まだ政情が安定していない国もあったりするため、そうした認識のないまま不用意に採用に臨んだことが、結果として国際問題的なトラブルに発展してしまう場合も無きにしも非ずです。自社の利益だけでなく、社会貢献まで視野に入れた採用活動を意識する必要があります。

    【注意点】アフリカ人エンジニアを採用する際に意識すること

    アフリカ系の人々の中には、特定の宗教の敬虔な信徒が存在しています。例えばイスラム教徒に見受けられる「宴会の席に参加してもお酒を飲まない」「断食の期間を過ごしながら就業する」といった習慣の違いに戸惑うこともあるかもしれません。既存スタッフの間にあらかじめ「外国人エンジニアが提示する、多様性を認める」という意識を育んでおく必要があるでしょう。

    またアフリカは国により、ITの状況に大きな差があります。なかには、インフラが十分に整っていない国も少なくありません。そのような状況でエンジニアとしてスキルを磨く人たちは、国籍によりさまざまな背景を背負いながら就業していることを理解しなくてはなりません。

    さらにアフリカは貧富の差が激しく、満足に教育を受けられない方々がいる一方で、富裕層の中には現地で大学に進学し、さらに海外留学を経て充分な教育を受けている人材もいます。

    「アフリカは貧しい国である」「教育に力を入れなくてはならない」などの先入観にとらわれることなく、ひとり一人の経歴をしっかりと確認していく慎重な姿勢が求められるでしょう。

    アフリカ人エンジニアの採用まとめ

    アフリカと一言で言っても、多彩な国が存在するため、少しまとまりに欠ける内容となってしまったかもしれません。しかし第四次産業革命の時代を迎えた今、これまで注目されてこなかったアフリカの力が、大いに発揮される可能性も高くなっています。

    また市場としての可能性に着目し、アフリカ進出を決めた日本企業も数多く存在しています。アフリカとその人材を取り巻く動きに、今後注目していきましょう。

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