海外の外国人エンジニアを採用する場合のフローとは?
外国人エンジニアを採用する際は、どのような点に注意しながら準備を進めていくべきなのでしょうか?その流れや知っておくべきポイントを紹介していますので、知識を深めるために、ぜひお役立てください。
海外に住む外国人エンジニアの採用方法
外国人採用を始める際にまず考えることは外国人エンジニアの採用方法です。 海外にいる人材へ向けて募集をかけるには以下のような方法があります。
1.人材紹介会社との提携
海外に住む外国人を採用するためには、海外とのネットワークに強い人材紹介会社と提携を行うことがおすすめです。 こうした人材紹介会社の中にはサービス業や小売業への紹介を中心とした人材を扱っている企業も多いので、 ITエンジニアの紹介に強いエージェントであるかも確認することをおすすめします。
2.海外の大学でダイレクトリクルーティングイベント
大学に出向き、在籍する生徒に直接アプローチすることができるイベント。 大学との連携が必要となっているので仲介となるエージェントやイベントを企画する企業にコーディネイトを依頼するのが一般的です。 一回のイベントで多数の人材へのアプローチが可能なので、求人掲載での募集や人材紹介会社からの紹介を待つよりも効率的な手法と言えます。 しかし、大学で開催されるイベントでは新卒採用が一般的なので中途採用の場合には人材紹介会社に依頼することが最適でしょう。
3.世界共通のSNSで募集
Facebookでの企業ページの作成やlinked inなどの世界で活用されているSNSやリクルートサイトに求人票を掲載する方法があります。 手軽に始められる方法ですが、ユーザーが企業を検索し、採用ページを見つけられなければ意味がないので世界的に知名度の高い企業でなければ 集客は難しいと言えます。
4.リファラル採用
社員の紹介をきっかけに採用を行う手法です。すでに外国人社員がいる企業や海外とのつながりが豊富な企業には比較的取り組みやすい方法でしょう。 また、リファラル採用であればあらかじめ人材の情報を紹介者に確認できたりと、人材の精査ができるという意味でも効率的な採用手法です。
外国人エンジニアの面談時に確認するべきポイント
海外から外国人を呼び寄せて採用する場合「何らかの方法で募集を行い、条件に適う人材を絞り込む」という過程を経ていますが、現地やウェブでの面談の際に、最終確認をしておくべきポイントがあります。入社をした後に「不適任な人物を採用してしまった」という結果を招かぬよう、以下の点に留意して下さい。
- なぜ日本で働きたいのか?
- 日本の慣習に馴染む努力ができそうか?
- 従事する予定の職務に当てはまるスキル、または相応の勉強をしてきたか
- ビザ対象となる学校を卒業しているか 取得予定のビザ対象となる学校を卒業しているかどうか確認することは重要です。 採用が決まり最終的なビザの手続きを行う段階でビザ取得資格が無いような事態にならないよう事前に確認しましょう。
単純に「日本好きだから」という理由だけでは不十分。長期的な就労に繋がる、職業や生活上の動機をきちんと確認しておく。
外国人にとっては、日本での就労が大きなストレスに繋がることも。自国と日本とのカルチャーギャップについてどの程度理解し、対策を講じているかチェックを。また就労条件についても、事前に改めて相互確認しておく。
入社後従事する職務と、これまでの経歴または大学で専攻してきた分野が合致していないとビザが下りない可能性があります。
学歴や職歴だけでなく、携わってきた業務や学んできた専門分野について細かく質問をしてみましょう。
また面談の前に、履歴書や職務経歴書の最終チェックを怠らない注意深さも必要。彼らが外国で築いたキャリアに関しては、日本で詳細を確認することが難しい場合が多く、100%信頼に値するとは言い切れません。もし疑問点などがある場合、曖昧にせずひとつひとつ確認し、説明を求めるようにしましょう。
海外に住む外国人エンジニアを採用した場合に必要な入国手続き
国境を跨いでエンジニアを採用する際には、ビザに関する専門的な準備を整え、段階を踏んでいく必要があります。優秀な人材を確保し、契約内容への合意と内定承諾が得られたら、入社日を決め、以下のような手順で入国に必要なビザ申請への手続きを進めていきましょう。
1.在留資格認定証明書の交付申請
『在留資格認定証明書』とは、日本に長期滞在する外国人に対して発行される認定証明書。観光などの目的による短期滞在ではなく、長期間の在留を認定する意味で重要です。その交付を受けるためには、入国管理局へ「在留資格認定証明書交付申請書」と、その他の必要書類を提出し、外国人の活動予定と来日のための条件が適合していなくてはなりません。
在留資格認定証明書の交付申請にあたり必要となる資料
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 雇用契約書(オファーレター) -日本語版
- 企業カテゴリーごとに必要となる企業証明書
- 返信用封筒(宛先を明記して円切手を貼り付けたもの)
- 大学から発行される学業修了証明書・卒業証明書 -日本語版
申請にあたっては、受け入れる企業が代理申請するのが一般的。外国人の居住予定地か、雇用先企業の所在地を管轄する地方入国管理局に、審査を委ねます。
申請の際は、必要事項を記入した在留資格認定証明書交付申請書を提出します。こちらの書類のフォーマットは、法務省のHPからダウンロードが可能。時期によって期間は異なりますが、通常、審査には1~3ヶ月の時間が必要となるほか、発行後3ヶ月で失効してしまうので、注意が必要です。
2.就労ビザの取得
在留資格認定証明書が発行されたら、原本を雇用予定の外国人に郵送します。受領した外国人内定者は現地の日本大使館または領事館へと赴き、ビザの発給を申請します。『在留資格認定証明書』を手にすることが出来ても、就労ビザを取得しなければ、日本に入国することはできません。
日本の就労ビザは種類が多く、全部で約20の数があります。エンジニアが該当するのは『技術人文知識国際業務ビザ』。システムやネットワークエンジニアのほか、プログラマーなどの職種も、こちらのビザに含まれています。もし申請書類に虚偽の申告があった場合などはビザの発給を受けることができず、日本へ入国はできないため、注意が必要です。
条件を満たした人物が『在留資格認定証明書』を持参のうえで、現地の領事館で申請を行えば、ビザの発給は数日程度で完了します。こちらは申請を行う国や申請時期にも異なるのであらかじめ入国管理局や現地の領事館へ確認をしておきましょう。また、領事館の休館日によっても左右されるので事前に調べておくことが必要です。
就労ビザ取得後は発給後3カ月以内に渡航しなければ無効となるので注意しましょう。
3.上陸申請
『在留資格認定証明書』と『就労ビザ(技術人文知識国際業務ビザ)』が発給されたら、外国人エンジニアはいよいよ来日が可能となります。
入国した際は審査官にビザを提示したうえで、上陸申請を行います。
上記の流れを見てもわかるように、外国人エンジニア雇用の際手続きには、数ヶ月の時間が必要となります。在留資格認定証明書や就労ビザには有効期限が設けられているので、入社時期から逆算をしてスケジュール調整を行い、スムーズな採用実現を目指して下さい。
海外の外国人エンジニアを採用する企業が準備する書類と審査
採用した外国人の就労ビザの発給には、当人の審査と同時に、受け入れ先が適切な企業であるか双方の審査が行われます。ここでは就労ビザ取得に必要となる、企業が準備するべき書類をまとめています。
1.雇用契約書と採用理由書
採用の必要性や採用後にどのような職務を担当させるのか、詳細に説明する文書を用意しなくてはなりません。
雇用契約書内に関しては、給与部分もチェックされます。同企業内で就労する日本人の給与水準との間に差を設けると、採用が許可されなくなりますので、留意して下さい。
2.企業規模によって異なる企業証明書
また企業の事業や財務状況を説明する書類の提出も、求められます。上場企業や地方公共団体の場合は『四季報の写し』や『上場を証明する文書』、未上場企業の場合は『前年分の職員給与所得源泉徴収票など、法定調書合計表の写し』、そして設立から数年程度の新興企業の場合は『登記事項説明書』や『事業計画書』などを提出しなくてはなりません。
3.招聘状
招へい理由書はビザ申請人(海外から日本へ来たい人)を日本に入国される理由を、雇用主が日本国大使館や領事館に伝える書類になります。
採用した外国人の入国予定日や、入社後に携わる業務内容、企業の規模・事業内容などを記載する必要があります。
これらの準備を充分に行わないと、外国人エンジニアの採用プラン自体が実現しなくなりますので、注意しましょう。
海外から外国人インターン生を呼び寄せる際のフローと注意点
日本にいる留学生でなく、わざわざ海外からインターン生を呼び寄せるためには、正社員の雇用と同様に入国に関する手続きを踏まなくてはなりません。
まず初めに、海外に住む外国人の学生をインターンとして向かい入れる場合は海外の大学と、インターシップ契約を結ぶことが大前提。そのうえで「現役大学生(通信は不可)であること」、「インターンが単位に繋がること」、そして「専攻科目と就労内容に関連がある」という条件のクリアは必須です。
インターン中、報酬が発生するか、しないかにより手続きの内容は変わります。
報酬あり | 期間が1年以内(一度帰国すれば、最大1年間延長可能) | 特定活動ビザ | 1.インターン生は大学に推薦状や単位取得証明書など、いくつかの資料を用意してもらう。 2.企業側は事前に入国管理局から『資格外活動許可』を受ける。『在留資格認定証明書』の交付を申請する。 |
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報酬なし | 期間が90日以内 | 短期滞在ビザ | 1.ありの1と同じ 2.企業側が『在留資格認定証明書』の交付を申請する。 |
期間が90日を超える | 文化活動ビザ | 1.ありの1と同じ 2.企業側が『在留資格認定証明書』の交付を申請する。 |
企業側の『在留資格認定証明書』の交付を申請→ビザの発給という大まかな流れは、インターンでも同じですが、報酬の有無により在留資格の内容が異なります。またその発行には、インターン側が書類をきちんと用意しておくほか、企業側が受け入れや指導体制をきちんと整えておく必要も。過去に実績がないという場合は、特に入念な準備をしておかないと、申請が認められないこともあります。
まとめ
国境を越え、文化背景の異なるエンジニアを採用するためには、さまざまな過程があります。外国人の日本への入国・滞在を保障する在留資格認定証明書の交付は、早い段階から手を付けなければならない優先事項。わずかな手違いでビザが下りず入国ができなくなってしまったり、入国時期に数ヶ月の開きが生じてしまうこともありますので、入社時期から逆算をして、入国手続きに関するスケジュール管理はしっかりと行うように注意しましょう。
また受け入れる企業自体も、入国管理局の審査対象なり、企業規模や外国人雇用経験の有無によって審査にかかる期間や必要な書類は異なります。インターンの受け入れにも適切な準備を行い、実績を積み重ねる必要がありそうです。
いきなり大風呂敷を広げるのではなく、堅実に段階を踏んでいくことが成功へのカギとなります。